研究課題/領域番号 |
09680473
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
中尾 徳晶 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (80272524)
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研究分担者 |
中村 尚司 東北大学, サイフロトロンRIセンター, 教授 (70026029)
伊藤 寛 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (50300679)
柴田 徳思 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 教授 (80028224)
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キーワード | 高エネルギー中性子 / 自己TOF検出器 / 中性子エネルギースペクトル / 飛行時間法 / 遮蔽体透過 / 中性子散乱断面積 |
研究概要 |
数十MeVから数GeV領域の高エネルギー中性子スペクトロメータとして自己TOF検出器を開発している。このスペクトロメータは、加速器施設遮蔽外での中性子エネルギースペクトルの測定や物質の中性子散乱断面積の測定に応用することを目的として、改良および特性試験を進めている。 本年度は、加速器施設での漏洩中性子の測定における自己TOF検出器の性能を試験するため、放射線医学研究所の重粒子線加速器施設HIMACにおいて、核子当たり400MeVの^<12>Cイオンによる厚いグラファイトターゲットからの生成中性子を線源とした数十MeVから数百MeV領域の検出器応答関数の測定を行った。さらに、その線源中性子を50,100,150cm厚コンクリート遮蔽体を透過させ、遮蔽体外側での中性子の測定を行い、測定応答関数を用いたアンフォールディング解析によって透過中性子エネルギースペクトルを求めた。数百MeV領域において、従来まで非常に困難かつ信頼性の低いものであった遮蔽外でのスペクトル測定は、本検出器を用いることにより飛躍的に精度が向上した。また、高エネルギー重イオンターゲット生成中性子の遮蔽体透過中性子スペクトルが実験的に得られたのは他にほとんど例がなく、非常に貴重な遮蔽実験データを提供した。 また、中性子散乱断面積測定用の自己TOF検出器は、エネルギー分解能向上のために、スタート検出器の厚さを0.5mmとしてラジエータからの生成荷電粒子のエネルギー損失を小さくし、さらに、両端に光電子増倍管を取り付けることで時間分解能の向上を計った。今年度は日本原子力研究所高崎研究所のTIARA 90MeV-AVFサイクロトロン施設の第3軽イオン照射室において3回の特性試験を行い、65MeV中性子に対し中性子エネルギー分解能3.5MeVを得た。
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