研究概要 |
ミクロな現象を見る計算手法としては分子動力学法、マクロの現象を見るためには流体計算手法が種々提案されているが、本研究ではこの中間領域のメソスケールの現象を追跡する計算法を追求した。この目的のために、計算グリッドが少なくても高精度の計算が可能なCIP法を用いた。ここで用いたボルツマン方程式は空間及び速度空間の6次元の方程式であり、時間発展はこの6次元位相空間での移流を解くことになる。このため、移流方程式に対して非常に有力なCIP法を採用した。ここでは、CIP法の1次元手法を6回繰り返して用いる簡便な手法を採用して超多次元空間の計算法を開発した。この手法をチェックするために、まず、位相空間2次元と4次元のブラソフ方程式を解き、線形ランダウ減衰や二流体不安定性に適用した。 従来用いられている粒子法およびスプライン法とも比較をしたが、粒子法ではCIP法の10倍の粒子数を用いなければ同等の結果を得られないことがわかった。また、たとえ10倍の粒子数を用いたとしても、メソスケールに適用できるほど十分な分布関数の形状が得られないことが分かった。またスプライン法では、分布が負になったリスパイク状の不安定性が現れやすい。この比較により、CIP法の有用性を示すことができた。 速度空間グリッドを変化させ、どのくらい少ないグリッドまで可能かをチェックした結果、速度空間グリッドが10以下であっても充分な精度を得ることができることがわかった。最終的に6次元のコードを作成し、実計算を行ったが、,Alpha-CPUの1台のパソコンでも計算可能であり、16×16×16×8×8×8の6次元グリッドでのランダウ減衰のシミュレーションが約7時間で終了した。
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