研究概要 |
消滅処理用酸化物の熱膨張は、熱容量や熱伝導率などと並び燃料設計に重要な熱的パラメーターの一つであるため、多くの研究者により代表的なアクチノイド二酸化物(ThO_2,UO_2,NpO_2,PuO_2)の熱膨張は測定されているが、これら二酸化物固溶体の熱膨張の測定データはほとんどない。そこで、本研究では、定比(U_<1-y>Pu_y)O_<2.00>(y=0,0.02,0.03,0.05,0.08,0.10)固溶体試料の熱膨張を調べるため、試料の格子定数を高温X線回折装置にて、室温から1273Kの温度範囲で、50%CO/CO_2ガス中で測定した結果、以下の結論を得た。 (1) いずれの組成においても格子定数は温度と共に滑らかに増加しており、相転移等は見られなかった。 (2) 室温から1273Kの温度範囲で、(U_<1-y>Pu_y)O_<2.00>固溶体の格子定数はプルトニウム濃度の増加と共に直線的に減少し、理想固溶体であるベガルド側に従った。また、その傾きは剛体球モデルでほぼ見積もることができた。 (3) 高温では、固溶体の線熱膨張(LTE)はプルトニウム量の増大と共に減少した。 (4) 測定された熱膨張データと機械的性質から、熱力学の関係式を用い、固溶体の熱容量を推定した。推定値は文献値より小さかったが、文献値とほぼ同一の温度依存性を示した。
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