研究概要 |
ThO_2,UO_2,NpO_2およびPuO_2試料の格子定数は絶対温度の三次式で表わすことができた。アクチノイド二酸化物の線熱膨張係数は、1200Kではその融点に反比例した。しかし、室温ではUO_2の線熱膨張係数がNpO_2やPuO_2の線熱膨張係数より大きくなるという興味ある結果を得た。室温でのUO_2の線熱膨張係数の異常な挙動は、そのデバイ温度が他の試料と比べ、低いことに起因していると思われる。 NP_yU_<1-y>O_<2+x>(y=0,0.1,0.3,0.5,0.7,1.0)、NP_yPu_<1-y>O_<2+x>(y=0,0.05,0.1,0.2,0.5)、(Pu_yU_<1-y>)O_2(y=0,0.02,0.03,0.05,0.08,0.10)固溶体の格子定数は絶対温度の三次式で表わせ、温度と共に滑らかに増加しており、相転移等は見られなかった。上記固溶体の熱容量を熱カ学の関係式C_p=(βV)/(κ_aγ)、測定された熱膨張データと機械的性質から推定した。UO_2の熱容量の誤差は実測値の±5%以内であることが判った。また、いずれの固溶体においても推定値は実測値とほぼ同一の温度依存を示した。 プルトニウムをドープした試料においては濃度が4at%、トリウムをドープした試料においては2at%付近で格子定数の異常があると従来報告されていた。しかし、本実験ではこのような異常は見られず、定比(M_yU_<1-y>)O_<200>(M=Pu,Th,La)試料の格子定数はドープ量Mの増加と共に直線的に変化した。添加金属元素がプルトニウム、トリウム、ランタンのいずれの場合においても、ドープ量に対する格子定数の変化率の本実験値は、剛体球モデルを仮定し、ランダムに添加元素が分布しているとして求めたPu^<4+>(またはPu^<3+>)およびTh^<4+>の理論値、補正されたLa^<3+>の理論値とほぼ一致した。
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