研究概要 |
ここでは1)年間のトリチウム放出量を評価するためのモニタリング、2)作業従事者の安全と動態に関する知見を得るために、炉室の管理区域内における空気中モニタリングおよび3)トリチウムの発生源を同定するために炉心近傍の重水やCNS設備の^<41>Ar減衰タンク排気のモニタリングを実施した。その結果は以下のとおりである。 1.数年間のスタックおよび放流排水の濃度モニタリングから、年間のトリチウム放出量は大気中へは高々1GBq、排水系統へは0.1GBq以下であることが判明した。 2.トリチウムが漏洩する可能性のある重水タンク、配管、バルブなどを更新した後でも、炉に隣接するCNSや重水設備の排気系統凝縮水に1.3〜2.0×10^5Bq/mLの高濃度トリチウムが検知された。これが、炉室の換気が停止している期間に室内に充満する原因であった。 3.このようにCNSや重水設備の排気系統凝縮水が高濃度を示す原因には2つの理由が考えられる。1つは多量のトリチウム源である液体重水素や重水の漏洩、他は核反応によりトリチウムが生成されることである。すなわち、空気中窒素の^<14>N(n,T)^<12>C反応にである。2つの施設の排気中トリチウム濃度が、炉の熱出力に対応していることから、後者の原因がもっともらしいことが判明した。
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