研究課題
基盤研究(C)
核融合プラズマにおいてプラズマ閉じ込めが良くなり温度や密度が上がったとき、電磁流体力学的(MHD)不安定性がおこり、熱が急速に失われる。すなわちMHD不安定性は重要な研究分野である。通常、MHD不安定性はプラズマの電子温度の揺動を引き起こすこと、およびECEが局所的電子温度を連続的に測定できることのため、ECEトモグラフィーはMHD不安定性の大変強力な研究の武器である。ECEトモグラフィーのためには、周波数帯域が広く感度の良い検出器アレイが必要である。本研究の目的は、回転を用いないECEトモグラフィーのために最も重要なデバイスであるECEの検出器アレイ開発の基礎研究である。ボウタイアンテナとSBDの組み合わせは周波数帯域が広いとされているが、これまで信号取り出し線がネックとなり、実は狭帯域であった。本年度の研究では、広帯域化を目指し、GaAs結晶基盤上にポウタイアンテナ、SBD、IFアンプを搭載した実験を行った。RFのマイクロ波は表から、LOのマイクロ波は裏から光学的に入射し、本デバイスで混合し差周波数信号(IF)を得、デバイス上のIFアンプで増幅しインピーダンスマッチングを行った。その結果、80〜100GHzで、帯域幅約20GHzを得た。これはLHDの2T運転で使用するのに十分な帯域幅である。この結果は、1997年発行の電子技術における権威のある雑誌Electronics Lettersに発表した。さらに、ECE計測に用いることのできる感度の向上と信頼性の向上を目指し、研究を続行している。
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