年輪解析法を用いた冷温帯から亜寒帯の過去500年間の気候変動の復元を目的に実施した計画は以下の通りである。 (1) 北海道内のアカエゾマツ採取予定地のうち、湿地系(北海道大学・雨龍地方演習林)、蛇紋岩地系(同中川地方演習林)の2ヶ所(サンプル20個体以上)を成長錘で採取し、現在解析処理を行っている。計画の砂丘地系(春国岱)は、採取許可の関係で次年度に採取する予定である。 (2) 浅根性のアカエゾマツは、土壌水の変動が成長に大きく関与していることから、水位と水分観測について、融雪時に測器を設置し、1年間にわたって観測を行った。湿地系の土壌水の変動調査は、次年度も継続し、2年間の時間的変化を詳細に調査する計画である。 本年度は、土壌水の変動調査と試料採取を中心に行った。さらに中川地方演習林で新たに樹齢約600年生の蛇紋岩地系の試料が見つかり、これを現在解析中である。平成11年度は、湿地系のアカエゾマツの水分・水位観測について引き続き継続する。今年度実行できなかった砂丘地系(春国岱)の追試について、次年度に調査を行う予定である。次年度は最終年度に当たるため、解析に必要な個体数に満たなかった地点を補充し、過去500年の気候の復元の知見を得る計画である。
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