日本における年輪解析法による冷温帯から亜寒帯の過去500年間の気候変動の復元を目的に実施した計画は以下の通りである。 (1)各地点から採取したアカエゾマツの年輪幅変動について、砂丘系では認められなかったが、蛇紋岩系と湿地系で同時性が確認された。 (2)他の気候プロキシレコードと対比した過去300余年間の気候変動の推定値を導出した。 本年度は、最終年度に当たるため、これまでの調査・解析結果を総合的に取りまとめるための討議が中心になった。したがって、研究費の使途は討議のための資料整理と旅費が中心になった。 結果として、収集した試料には生育地点の制約上、過去への復元に関する限り300余年に留まり、当初の目的を達することが出来なかった。しかし、年輪年代学の適用は、高温多湿な地域で不適と考えられてきたが、北海道のアカエゾマツにも樹木の年輪成長に同時性が確認され、気候変動の復元に貢献できるものと期待される。 これを基に世界的な気候変動ともよく同調し、さらに他プロキシレコードとの比較から過去500〜1000年の気候復元に向けた努力をする予定である。
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