1.降雪粒子自動連続観測装置の実用化:降雪粒子による酸性ガスの取込みを明らかにするにはその形状・雲粒捕捉の程度を自動・連続的にモニターする必要があり、そのための装置を製作・実用化した。降雪粒子は透明なアクリル円盤の上に採取され、上向きにセットされた2台のビデオカメラで連続的にモニターされた。カメラの視野はそれぞれ55×42mm^2、9.2×7.0mm^2である。円盤上の降雪粒子画像はテレビ画面でモニターされ、タイムラプスビデオで記録される。アクリル円盤は予めセットされた間隔で回転・停止を繰り返し、広い領域をスキャンすると共に、静止画が得られるようにした。ビデオカメラの真上には黒いつや消しアクリル板を置いた。このアクリル板は日中は太陽の直接光を防ぎ、背景として、降雪粒子を際立たせる。夜間はスポットライト光源からの光を反射し、降雪粒子の照明となる。アクリル円盤状の降雪粒子は一定間隔毎にファンで吹き飛ばされ、次の降雪粒子サンプリングが行われる。アクリル面にくっついた降雪粒子もファンからの空気で蒸発する。 2.降雪粒子の採取及び各種観測:平成10年1月中旬から3月上旬にかけて、札幌市の郊外で降雪粒子の採取を行い、冷凍保存した。同時に次の観測を行った:(1)上記装置及び顕微鏡による降雪粒子の観測;(2)塩化水素ガス・アンモニア・硝酸ガス・エアロゾルなど大気汚染物質のモニタリング;(3)ドップラソーダによる風向・風速の鉛直分布の観測;(4)電子天秤法による降水強度の連続モニタリング。次年度に降雪サンプルの化学分析及びデータ解析を行う。
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