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1997 年度 実績報告書

ワレカラ類を用いた沿岸生態系中の有機スズ汚染のモニタリング

研究課題

研究課題/領域番号 09680503
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京大学

研究代表者

竹内 一郎  東京大学, 海洋研究所, 助手 (30212020)

研究分担者 田辺 信介  愛媛大学, 農学部, 教授 (60116952)
宮崎 信之  東京大学, 海洋研究所, 教授 (40101464)
キーワード沿岸生態系 / 大槌湾 / 海 / 生物濃縮係数 / 有機スズ化合物 / ワレカラ類
研究概要

船舶塗料の防汚剤や塩化ビニルの安定剤などに利用された有機スズ化合物は、日本では1990年に小型船舶や養殖施設等での使用が禁止されたが、海洋生態系における有機スズ化合物の生物濃縮や蓄積の態様については多くの未解決課題が残されており、その毒性影響に関する研究が期待されている。
本年度は、岩手県大槌湾の沿岸生態系において、海水及び、ワレカラ類をはじめとする各栄養段階の鍵種の有機スズ化合物の残留濃度を測定し、その分布、動態、及び、濃縮の特徴について調査・研究した。海水と各栄養段階の生物のブチルスズ化合物濃度を比較した結果、海水-生物間では数千〜数万倍の濃縮が見られたが、生態系内の栄養段階上昇に伴う残留レベルの増加は認められなかった。魚介類中の残留レベルは概ね低値であったが、ワレカラ類と魚類の一部は東京湾沿岸の生物に匹敵する高い残留濃度を示した。ブチルスズ化合物の残留組成や生物濃縮係数を検討したところ、これらの生物は他の生物種に比べTBT分解能力の弱いことが推察された。このことは、環境中の有機スズ汚染レベルが低くても、海水-ワレカラ類間で有機スズ化合物の高い濃縮が起こる可能性を示している。
次に、東北地方各地や紀伊半島、瀬戸内海沿岸、及び九州西岸よりワレカラ属Caprellaに属する9種のワレカラ類を採取・分析したが、全ての検体からブチルスズ化合物が検出された。東北地方や紀伊半島及び瀬戸内海沿岸では、ワレカラ類中の有機スズ化合物の体内濃度は40〜160ng/g wet wtであった。九州西岸から採集されたワレカラ類では、一部からブチルスズ化合物の高い濃度が測定され、最高は460ng/g wet wtに達した。

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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