研究概要 |
本年度は、ホザキノフサモが放出したアレロパシー物質の検索及び同定したアレロパシー物質の増殖抑制効果の評価を行った。 まず、ホザキノフサモから放出されるアレロパシー物質を同定するため、ホザキノフサモの高濃度培養液(100g-wet/1,3日間培養)を極性及び分子量に基づいて分画した(この様な培養液が藍藻類Microcystis aeruginosaに対して増殖抑制効果を示すことは予め確認されている)。この結果、高極性(水溶性)の画分のみにM.aeruginosaに対する増殖抑制効果を確認し、この水溶性画分を排除限界分子量1000の限外濾過膜を使用し濾過しても増殖抑制効果に変化は認められなかった。従って、アレロパシー物質は水溶性の分子量1000以下の物質であると考え、この様なアレロパシー物質を検索する為に電気化学検出器(ECD)付き液体クロマトグラフィーを用いてホザキノフサモ高濃度培養液を機器分析した。この結果、pyrogallic acid,gallic acid,(+)-catechin,ellagic acidといった高極性のポリフェノール化合物を同定した。ホザキノフサモ高濃度培養液中のこれらの存在量は微量(ug・1^<-1>オーダー)であったが、本研究では、フェノール化合物を選択的にかつ高感度で検出できるECD検出器を使用したため、分析可能であった。これらのM.aeruginosaに対する増殖抑制効果を評価した結果、4種全てがM.aeruginosaに対して増殖抑制効果を示すことを確認した。また、pyrogallic acid及びgallic acidの抑制効果は顕著であり、特にpyrogallic acidはug・1^<-1>オーダーの添加でも抑制効果が認められたことから、これらがホザキノフサモのアレロパシーに関与しうるアレロパシー物質であることが示唆された。
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