わが国で一般に採種できる大型水生植物9種のうち、ラン藻類に対して最も増殖抑制効果が認められたのは、ホザキノフサモであった。ホザキノフサモが体外に放出した生理活性物質の同定を行った。化学検出器付き高速液体クロマトグラフィで、既知物質とのピークが一致したこと、またGC/MSによる同定結果から、生理活性物質は、ピロイガロール、gallic acid、カテキン、エラグ酸、であった。 これらのポリフェノールは、水中で自動酸化するので、培地中での自動酸化速度を求めた。これらの酸化速度は、pHに大きく依存していることが示された。これまで、大型水生植物のアレロパシー効果に関して、効果が認められる実験結果と、そうでない実験結果が得られていたのは、自動酸化速度が非常に大きく分解されやすいこと、さらに物質によって自動酸化物も増殖抑制効果をもつことによると推定された。 さらに、これらのポリフェノールについて、個々の物質による増殖抑制効果を評価したところ、ピロガロールが最も抑制効果が高いことが示された。さらに、これらの4物質による相互作用が、ラン藻類の増殖に及ぼす影響を検討したところ、相乗効果が確認された。
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