研究概要 |
本研究は、サロベツ湿原と霧多布湿原を対象に、その保全のための基礎調査(地下水質、土壌、植生)を行った。調査はもつ一年継続されるが、本年度の成果を以下に示す。 【調査期間】サロベツ湿原1997年5月19〜29日、7月3〜4日、7月23〜24日、9月15〜17日、10月17日、霧多布湿原 8月13〜15日、11月17〜19日 【主たる成果】 ○地下水水質について ミズゴケ区(ミズゴケ優占区)は、雨水涵養型で、pHが低くまた栄養塩濃度が低いが、ササ区(ササ優占区)は乾燥化と土壌の混入によってpHが高く、栄養塩他一般成分濃度が極めて高い。湿原保全のためには、乾燥化の防止、他水系からの水の流入、土砂の混入を避けなければならない。 ○土壌質について 泥炭土壌の底部まで約7mを10cm間隔でICP-massとCN計によって分析した。各層で地質形成と関連した特異的な組成分布がみられたが、特にササ区での表層20-30cmでの重金属元素の増加と有機成分(C,N)の減少がみられ、これらは最近の人為的作用によるものと推測された。 ○ササの生長について ササ区でもササ侵入部とササ繁茂区では、茎の径や葉の大きさに差異が認められた。しかし葉面積指数に大きな差がなかった。土壌の侵入は、ササを大型化するが、葉面積は物理的状況に左右されることがわかった。
|