研究概要 |
グラニュール等の微生物集塊の生態学的構造を把握するために,16SrRNAを標的とする蛍光標識モレキュラー・プローブのIn-situ Hybridizationを適用した. 1.各種UASB反応槽より採取したグラニュール(5種)と,通常の中温消化汚泥について,Archaea検出のためARC915,Methanothrix属の特異的検出のためMT757プローブを用いて,全菌数中のArchaea及びMethanothrix属の存在率を定量化した.その結果,各試料中のArchaeaに属する菌群は全菌数の38〜65%に及び、またMethanothrix属は,全菌数の15〜38%であった. 2.グラニュール汚泥内に占めるMethanothrlx属の存在率と,それら汚泥の酢酸基質からのメタン生成活性には,明確な正の相関性が認められ,in-situ hybridizationによるグループ特異的な菌数の測定により,汚泥中の各種活性を簡便に測定することができる可能性が示された. 3.同一の糖系人工廃水により培養した高温,及び中温グラニュールの表面付近の層(外層),及び内部(内層)についてARC915,MT757,MB318プローブを用いたin-situ hybridizationを適用した結果,それぞれの層内に占めるArchaeaに属する菌群は,中温,高温グラニュールどちらも外層に比べ内層にArchaeaに属する菌群が多く存在することが明らかとなった. 4.中温グラニュールではMethanothrix属が多く存在しているのに対し,高温グラニュールでは水素資化性メタン菌であるMethanobacter groupが比較的多く存在していることが判明し,高温グラニュールにおける酢酸酸化共生系による酢酸の消費が,菌数レベルでも示唆された.
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