| 研究概要 |
プラスチック製品の使用量は、年々増大している。これに伴い、廃プラスチックの量も増加の一途をたどっている。従来廃プラスチックは、埋め立てなどの方法によって処理されてきたが、この方法には、限度がある。そこで、廃プラスチックを分解する方法を開発することを目的として太陽光によるプラスチックの促進分解法を検討した。汎用プラスチックとして知られるポリ塩化ビニル(PVCl)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を試料として選んだ。両者ともに太陽光の波長領域(290nm以上)にchromophore(光吸収種)を持たない。
PMMAには、290nm以上の長波長側に光吸収種を持つbenzophenone,または、β-caroteneを添加し、また、PVClには、短波長の光を照射することによって共役二重結合を分子内に導入した。いずれの場合にも紫外-可視吸収スペクトルによって、290nmより長波長領域に光吸収種が導入されたことが確認された。これらの試料に岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所に設置された大型スペクトログラフ(OLS)を用いて、260-500nmの単色光を照射し、化学構造の変化を紫外-可視吸収スペクトル、FTIRスペクトルにより、分子量の変化をGPCにより評価を行った。その結果、いずれの試料でも光分解による分子量の低下が観測され、光吸収種を導入しない場合に比較して、光分解のしきい値が長波長側に移動した。これらの結果は、290nm以上に光吸収種を持っ添加物または、異種結合を廃プラスチックに導入することによって、廃プラスチックを太陽光の下で分解することが可能であることを示唆している。
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