本年度の研究成果は以下のようにまとめられる。 1.まず研究を遂行していく上で必要となる学術書、統計データの収集を行った。特に統計データについてはモデル作成上容易に利用可能となるように、Excelワークシートの形式で整理した。 2.本研究では動学的一般均衡モデルの作成を目指しているため、経済データを整合的に記述する会計行列の形式で、産業連関表、国民所得会計などを整理する必要がある。本年度は32産業部門、家計、政府、海外部門からなる経済会計行列を作成した。それと合わせ、環境汚染物質として二酸化炭素を取り上げ、そのデータの収集整理も行った。 3.経済会計行列の推計には数ヶ月を要するため、その間平行して基本的なモデルの構築を行った。本研究のモデルは動学的一般均衡であるため、経済成長経路の計算には多くの試行錯誤が伴った。モデルの基本特性を調べるために、既存研究で得られている北海道のデータを用いたシミュレーション分析を行った。これらの研究成果は土木学会、国際地域学会などで発表した。 4.以上のように、本年度の研究進捗状況は極めて順調であり、来年度は日本経済全体を対象として、経済成長と二酸化炭素排出量との関係を、様々な政策要因も考慮しながらシミュレーション分析していく予定である。
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