1. 東京都マクロモデル(プロトタイプ)の拡張 (1)ごみ減量化への政策手段を明示的に組み込むモデルへ改良。(2)マクロデータ及びごみデータを最近時点まで収集、更新し、パラメータの再推定を実行しモデルテストを実施し、関数の見直し等を実行。(3)公共財の役割検討のため、別途、種類別の社会資本データを収集した。 2. 産業廃棄物の種類別、産業別動向の分析 経済活動とごみ排出量の関連及び、排出構造の分析の一環として、産業連関表を用いてごみの分析を行った。具体的には、産業活動と直接結びついている産業廃棄物の分析を試みた。 環境問題への産業連関表の適用例としては、拡張産業連関表アプローチと付帯表アプローチがある。現在のわが国の産業廃棄物統計データの整備状況から考えて後者のアプローチを取った。ただし産業廃棄物の産業別種類別排出量は公表されていないため公表データをもとにRAS法を用いて推計し分析に用いた。まず、推計で求めた産業別種類別排出量行列と種類別の最終処分率から産業別種類別の最終処分量をもとめた。また、種類別の最終処分率削減の効果を検討するために、各種類毎に最終処分率を1%カットし種類別の減量効果を検討した。最終処分量の分析結果を以下に整理する。 (1)産業別の最終処分量は建設業が圧倒的に多く、その97.7%が建設廃材である。(2)汚泥が多い産業は、電気・ガス・水道業(32%)、鉱業(15.7%)である。(3)電気・ガス・水道業は排出量は多いが最終処分量は建設業の約半分である。(4)汚泥は種類別最終処分率の削減効果が大きい。 都市化の進展に伴う電気・ガス・水道業の役割の増大は、より多くの汚泥排出の可能性を示す。都市の社会資本整備も建設廃材の大量発生に結びつきかねない。建設廃材の排出抑制と中間処理の向上による最終処分率の一層の削減が求められる。統計データ不足で一定の限界はあるものの、産業連関分析の産業廃棄物問題への適応の有効性は示せたと考える。
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