1.公共財の役割検討:外部性は環境問題が発生する基本的な理由の1つである。外部性がある場合は「市場の失敗」をもたらすため政府がその財を公共財として供給し財源には税金をあてる。財は公共財の観点からは、純粋公共財、私的財、両者の中間の準公共財とに分類できる。都市の清掃行政は特定の地域で税金を財源として行われる点からすると、地域公共財であるとみなせる。準公共財はその共同使用財の物理的規模に応じて、中央政府、都道府県、市町村のどのレベルの政府が供給主体となるのが望ましいかを検討することができる。非競合性の強い公共財は中央政府、より競合的な公共財は地方レベルでの供給が望ましい。 2.マクロモデルの更新:(1)データの更新:マクロデータ、ごみデータを最近時点まで収集、更新した。(2)パラメータの最推定およびモデルのテストを実施した。 3.都市環境のリスク評価:(1)都市環境の定義を検討した。広義の都市環境の構成要素は、安心・安全・快適・ゆとりからなる都市住民の厚生要素に対応し、階層構造を有しているとみなせる。一方、東京都の一般廃棄物問題という個別事例は狭義の環境問題である。(2)リスク下での意思決定の理論的枠組みとしては、完全合理性に基づく期待効用理論が伝統的に用いられてきた。しかし完全合理性を仮定した効用理論だけでは人間行動を十分に記述できない現象が示されるようになってきた。このような状況で、限定合理性を仮定した意思決定のための理論的枠組みの検討が始まっている。本研究では都市環境のリスク評価を例に、意思決定プロセスの第一段階として、問題の構造化過程を示した。
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