首都圏・東京圏への一極集中が著しく集中による環境問題はますます深刻になっている。木村・萩原は東京都立大学都市研究所の共同研究プロジェクト「大都市の環境と地域社会に関する総合的研究」などで、東京の経済構造の変化と環境問題の観点から東京都のごみ問題を継続して研究してきた。 廃棄物処理問題への関心が高まり多くの研究報告が行われているが、従来の研究には物質循環的アプローチ、廃棄物処理技術など技術的な分析が多くみられた。また経済的分析の場合は、環境税、課徴金の効果分析など主体の意志決定に影響を与えるミクロ分析が中心であった。ごみ(一般廃棄物)は自治体毎に収集・処理・処分が行われているという意味で地域公共財であるが、清掃行政は民間業者への作業委託が可能な部分と委託できない純粋公共財的な部分とがある。また清掃工場、最終処分場の建設は地域の社会資本建設でもあり、環境の保全・管理の観点からの環境政策を踏まえた地域環境管理政策の検討が必要である。 本研究は都市の経済活動と廃棄物処理問題を環境の保全・管理の観点から検討し、日々排出される都市の廃棄物処理問題に関して、ごみの減量化・再資源化のための方策を経済学的視点から検討し、都市の清掃行政を地域公共財として捉え、そのあり方を研究する。今後に向けて、循環型都市の構築に自治体がどのようにかかわるのかは大きな問題であるが、地球環境問題をはじめ、環境に対する関心が強く持たれている今日、住民、自治体、事業者など社会の構成員の間での全体像の共有は問題解決に向けて不可欠であると言えよう。このような場面での情報の果たす役割は非常に大きく多様な情報の収集・整備、情報を活用する場の提供など自治体の役割は事業の実施主体から情報の提供者に移行する時期にきている。
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