本研究は、環境保護と環境保健に対する女性の意識を明らかにするために、身近な環境問題をテーマとしたアンケート調査を行なうことを主体とした。質問項目は、健康状態、世界および地域環境の認識、環境保全に協力の意志、地方自治体への要望、地球温暖化についての認識、ゴミ問題、ダイオキシン問題等60項目である。回答者は全国組織の女性団体((社)大学婦人協会)会員1725名を含む1756名で、郵送により依頼および回収を行なった。(有効回収率30.6%)。得られた結果を環境保護や保健の視点から分析・検討し、国および地方自治体への新しい環境施策を提案することを目的としている。 まず、最近、世界の環境は悪化したと回答した者は91.4%を占めたが、地域環境が悪化したと回答したものは56.1%に過ぎなかった。回答者は国内問題、特に廃棄物・リサイクルに関心が高く、地球環境問題を自らの問題として捉える者は少ないと解釈される。気候変動(地球温暖化)に関して回答者の関心は高いが、温暖化防止のために、大量消費型のライフスタイルから、節電、節水等の節約型のライフスタイルへ「できる範囲で変えたい」と考え、車社会を反省する者は少なかった。国には、新エネルギー源の開発、法的規制、資源リサイクルシステムの推進と温暖化ガスの削減数値目標の設定を要望していた。ゴミ問題では、回答者は自治体の分別収集施策をよく理解し、非常に協力的であった。自治体へは新たにペットボトル、プラスチック、危険・有害ごみの分別収集を要望し、メーカーには使い捨て商品生産中止、回収の義務付け、デポジット制の導入等を要望していた。産業廃棄物による汚染に関して回答者は不安を抱いていた。特にダイオキシン汚染については、情報が無いことを自治体に対して強い不満を抱いていた。 本年度は上記調査報告書「身近な環境問題に関する実態調査-報告I」を作成した。
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