研究概要 |
1 Alcaligenes Jaecalis AFK2株のフェナントレン代謝系遺伝子のクローニングと全塩基配列の解析を行った。フェナントレン代謝系遺伝子は約24kbの領域に13個の遺伝子として存在した。特に上流系遺伝子のpahEのみが6kb離れて存在するという特異的な遺伝子配置となっていた。このフェナントレン代謝系遺伝子はPseudomonasのナフタレン代謝系遺伝子とビフェニル代謝系遺伝子の中間的な位置に位置づけされた。 2 Pseudomonas putida OUS82ナフタレン代謝系オペロンの負の調節因子をクローン化し解析した。この遺伝子は780bpより成り、コードされるたんぱく質は259アミノ酸残基、推定分子量30Kであった。この因子は通常のリプレッサーとは異なり、直接代謝系遺伝子に作用しなかった。またこの因子の発現はコハク酸によって誘導された。また変異株ではコハク酸による異化代謝が抑制が解除されサリチル酸代謝系の発現が抑制された。 3 ダイオキシンの骨格構造となるジベンゾフランとジベンゾ-p-ダイオキシンを分解する細菌を2株単離した。その一株はNocardioides simplex(HKT9991),他方はAlcaligenes denitrificans(TKT9992)と同定された。これらの菌株はビフェニル、ジベンゾチオフェン、アントラセンなどを分解した。A.denitrificans TKT9992をジベンゾ-p-ダイオキシン模擬汚染土壌に添加したところジベンゾ-p-ダイオキシンの濃度低下が認められたことより、TKT9992株はダイオキシン汚染土壌の処理に有効であると考えられる。またRalstonia pickettii DTP9692がダイオキシンの分解物である4-クロロカテコールを強力に分解することを明らかにした。
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