研究概要 |
本研究で対象とした廃液は,アミノ酸発酵の晶析工程からのもので,有機物,窒素および塩の濃度が極めて高く,したがって処理が困難な廃液である.このような廃液を省エネルギーな生物学的処理を行うためには,汚泥を高濃度に保持することが重要で膜分離活性汚泥法が有力な方法である.回転平膜は複数のディスクを用いてケーキを排除できる機構を持っている.本研究では,処理特性,高濃度化された場合の活性汚泥の活性度の変化,粘度の増大による物理的諸問題等について検討を行った.高濃度活性汚泥法では,実験室規模の装置では空気曝気のみでは装置全体に渡って十分な容存酸素濃度を得ることは困難で,酸素曝気を併用する必要があった.全実験を通して有機物及びアンモニア除去については良好な結果を得た.活性汚泥の活性度は,酸素消費速度,脱水素酵素活性,アンモニア消失速度の三つで判定した.その結果,単位汚泥当たりでは脱水素酵素活性,酸素消費速度は低下したが,アンモニア消失速度は増大した.反応槽全体ではいずれかの場合も活性度は増大し,高濃度化はスケールメリットのある方法であることが明かとなった.長期間運転により,活性汚泥混合液の粘度が増大し,発泡しやすくなった.これはSRTを長く取ると100万程度の糖タンパクなどの細胞外ポリマーが細胞に付着する形で蓄積することにより生じる現象であることを明らかにした.粘度や,発泡による障害は基質により異なるが,本基質の場合,実験室規模で行う場合には物理的な困難性のため,2万mg/l程度が限界であった.有機物,窒素の同時除去実験を制限DO法で行った.曝気-曝気停止のインタバルを変えて最適条件を決定した.その結果30分インタバルが適当であることが分かった.
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