研究課題/領域番号 |
09680561
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
渡辺 信 国立環境研究所, 生物圏環境部, 部長 (10132870)
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研究分担者 |
野崎 久義 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40250104)
野原 精一 国立環境研究所, 生物圏環境部, 室長 (60180767)
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キーワード | 車軸藻 / イケダシャジクモ / 絶滅種 / 絶滅危惧I類種 / ハダシシャジクモ |
研究概要 |
本研究では、水草の中で最も激しく消滅している車軸藻類について、未調査の東北地方、北海道地方及び九州地方の湖沼を中心にその分布と生息状況を調査し、30年前のデータと比較してその消滅要因を明らかにする。さらに絶滅の危機に瀕している種類の培養を行い、このままでは絶滅するしかない種類について、その生息域外保存技術を確立することを目的として、遂行した。 本年度の鹿児島の池田湖及び藺牟田池の再調査を行った結果、双方の湖沼で車軸藻は全滅していたことが明らかとなった。したがって、イケダシャジクモ(Chara fibrosa var.brevibracteata)は絶滅したと思われる。今回の調査により、加崎(1964)による調査で31種類が確認された北海道〜九州における40湖沼全てを再調査することができた。その結果、28湖沼で車軸藻類は消滅し、残りの12湖沼でもわずか1〜3種類の車軸藻類が確認されただけであった。さらに種数については、1964年当時の31種類からわずか6種類に激滅していた。これらの調査結果から5種類の車軸藻、ハコネシャジクモ(Chara globularis var. hakonensis)、イケダシャジクモ、チュウゼンジフラスコモ(Nitella flexilis var.bifurcata)、テガヌマフラスコモ(N.furcata var.fallosa)、キザキフラスコモ(N.minispora)が絶滅、ホシツリモ(Nitellopsis obtusa)が野生絶滅、25種が絶滅危惧I類種とランク付けすることができた。このような車軸藻類の激減の要因として、湖沼の富栄養化、草魚放流、水位変動があげられる。また、小笠原諸島で希少種であるハダシシャジクモ(Chara zeylanica)を発見し、分離培養することができた。
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