光合成細菌の光収穫系タンパク質およびそれをモデル化した疎水性ポリペプチドを用いて界面活性剤中で諸種のクロロフィル色素複合体の組織化を行った。そして、光合成細菌のアンテナ色素複合体の構築とそれにおよぼす諸種の相互作用の影響について以下のように検討を行った。 1) 光合成細菌のアンテナ色素複合体の膜タンパク質の構造形成について検討するために、光合成細菌R.rubrumおよびR.sphaeroidesの光収穫系タンパク質-バクテリオクロロフィル(LH-BChla)の再構成体およびクロマトホアにハロセン、クロロホルムおよびヘキサノールを添加し、その挙動を観察した。その結果、これらの添加物の変性の強さの順序はハロセン>クロロホルム>>ヘキサノール>ブタノール>プロパノール>エタノールであった。また、それらの変性作用には疎水性相互作用が重要な役割を果たしでいることがわかった。すなわち、光合成細菌のアンテナ色素複合体の構築では疎水性相互作用が重要な役割を果たしていることが示唆された。 2) 疎水性モデルポリペプチドとして、光収穫系タンパク質のC-末端親水性部のアミノ酸残基を保存したモデルポリペプチドType1およびC-末端にCys残基を配した1a-polypeptide(Type2)およびそれをジスルフィド結合させた2a-polypeptide(Type3)を、それぞれ、合成した。そして、クロロフィル誘導体(BChla)およびそれのモデル色素との複合体形成挙動についてCG中で検討を行った。その結果、いずれのポリペプチド(Types1-3)を用いた際においてもCG中においてBChlaのQy帯の長波長シフトが観測され、アンテナ色素複合体の形成が観測された。特に、Type3を用いた際にBChlaのQy帯は814mmに単一に観測され、アンテナ色素複合体のサブユニット類似の複合体の形成が示された。
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