研究概要 |
痛風はプリン代謝での尿酸産生異常で引き起こされる病気であり、この尿酸の生成を阻害することは、痛風発作の直接の原因である高尿酸血症を改善することになり、痛風治療の一つの有効な手段として臨床で用いられている。しかし現在、尿酸生成阻害剤(XO阻害剤)として使用されているのはアロプリノールだけであり、他の有効な薬剤はこれまで発見されていない。本年度から3年を目処に痛風治療薬開発に向けて研究を進めた。本年度は,2,6-ジクロロプリン(1)を出発原料にして、これにヒドラジンを作用させ6-ヒドラジン体(2)とし、ついで各種アルデヒド類を作用させてそのアルデヒドヒドラゾン誘導体(3)へと導いた。この化合物(3)を酸化閉環することにより5-chloro-7H-[1,2,4]tirazolo[3,4-i]purine及びその3-置換誘導体(4)を合成した。また,これらから5位のオキソ,チオキソ,アミノ等の種々の誘導体も合成した。この新規な三環性プリン誘導体(トリアゾロプリン)の合成法及びXO阻害活性に関して,国際特許出願[PCT Int.Appl.WO 96 26,208;Chem.Abstr.,125:247848j(1996)]した。目的とするプリン誘導体及びトリアゾロプリン誘導体の一般合成法を確立したので、構造活性相関を中心とした数多くの誘導体を合成し、随時in vitro及びラットとマウスを用いるin vivoスクリーニングを行った。in vitro試験ではアロプリノールより数百倍強いXO阻害作用を持つ化合物を多く見いだすことができた。しかしながら,in vivo試験に於いては,アロプリノールと同程度の活性化合物しか見いだせなかったので,次年度に更なる活性化合物の検索を行う予定である。
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