研究概要 |
本年度は,これまでに合成したトリアゾロプリン誘導体について,牛ミルク由来キサンチンオキシダーゼ(XO)に対するin vitro阻害活性及びラットとマウスを用いるin vivoスクリーニング試験を行い,本研究の総括を行った。その結果,多くの化合物にアロプリノールより数百倍程度の強いXO阻害作用が見出された。しかしながら,in vivo試験に於いてはアロプリノールと同程度の阻害活性であった。本年度は更に,ピラゾロピリミジン及びピラゾロトリアゾロピリミジン骨格を有する誘導体の合成法を開発し,これらのXO阻害活性分子設計を試みた。 先ず,二環性ピラゾロピリミジン類のXO阻害活性については,環の4位にアルデヒドヒドラゾン類が置換し,しかも6位オキソ化合物にアロプリノールの数倍から300倍程度の強い阻害活性が認められた。4位に関しては,アルキルヒドラゾンよりアリールヒドラゾン類により強い阻害活性が認められた。次に,三環性のピラゾロトリアゾロピリミジン類は,環の5位オキソ誘導体にアロプリノールより数十倍から800倍程度の強い阻害活性が見出された。特に,環の3位の長鎖のアルキル基やアリール基の導入は活性を増強させた。また,二環性より三環性化合物の方に大幅な活性増強が見られた。細胞毒性の指標として,ヒト急性リンパ芽球性白血病細胞増殖阻害作用を検討した結果,ピラゾロトリアゾロピリミジン骨格の5位にクロロ基を有する化合物類にのみ弱いながらも細胞増殖阻害活性が見られた。 平成9年度からスタートした本研究は,in vitroのXO阻害活性物質検索に於いて,現在痛風治療薬として唯一臨床で用いられているアロプリノールより数百倍強い新規物質を見出すことに成功した。本研究の継続によりこれらの化合物類の中からin vivo試験に於いても強い活性化合物の発掘・開発が今後期待出来る。
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