研究課題/領域番号 |
09680573
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
玉垣 誠三 大阪市立大学, 工学部, 教授 (40047246)
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研究分担者 |
長崎 健 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (30237507)
荻野 健治 大阪市立大学, 工学部, 教授 (30089958)
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キーワード | カチオン性光応答デンドリマー / DNA / 遺伝子導入 |
研究概要 |
天然高分子のように複雑でないもののシンプルな高分子として自由に分子設計し構造制御が可能なものにデンドリマー化合物がある。前年度には、デンドリマーの末端表面にL-リジン基、骨格中にアゾベンゼン、また核としてパラ位にアミノメチル基を有するカリックス[4]アレーンの1,3-オルタネート体を配置した光応答性でカチオン性のデンドリマー(2世代、3世代)を設計合成し、アゾベンゼンのシス・トランス異性化におけるシス・トランス存在率、異性化到達時間等の基礎的物性、動的散乱法を用いて紫外光照射による粒径変化等を検討し、シス異性化により枝構造が屈曲し粒径が収縮することを明らかにした。 本年からは、その毒性が低いカチオン性光応答デンドリマーを用いてタンパク質やDNAとの相互作用やドラッグデリバリーシステムの開発を目指した。まず、光構造変化がどのように遺伝子導入に変化をもたらすかを検討した。細胞としてCOS-1細胞を、導入遺伝子としてlac-Z遺伝子を有するpCHl10プラスミドDNAを用いた。デンドリマー/DNA錯体の遺伝子導入効率は、3世代より2世代で、2世代においては遺伝子導入後の紫外光照射によって、高い導入効率が得られた。これは、デンドリマーの構造変化により細胞内に導入された錯体の安定性が減少し、より多くのプラスミドDNAが読み出されたことを示している。一方、細胞への遺伝子導入の最適条件を探るために、in vitro系で上記デンドリマーと核酸分子との相互作用の解明を行った。相互作用を調べるために、電荷比率による錯体の粒径変化を動的光散乱で、錯体形成度合いを電気泳動で調べた。その結果、デンドリマーの世代数の増加による柔軟性の増大によって静電相互作用が容易になりDNAとの結合が強くなることが明らかになった。
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