研究概要 |
中国の民間薬地〓(Melastoma dodecandrum Lour.)はノボタン科の草本で、全草を清熱、解毒、止血、リュウマチ痛などの治療に用いられている生薬である。本植物のエキス及び単離した化合物について、PCA抑制試験、ラット腹腔マスト細胞を用いたヒスタミン及びロイコトリエン遊離抑制試験、マクロファージ活性化にともなう一酸化窒素(NO)産生抑制試験を行った。結果は以下の1)〜6)に記した。 1) 地〓エキスはラットPCA、ヒスタミン遊離抑制及びロイコトリエン遊離抑制、マクロファージのNO産生抑制が認められ、I型アレルギー反応を抑制する事が認められた。 2) 本植物より、9種の化合物、pterocarinin C(1),casuarictin(2),pedunculagin(3),casuarinin(4),nobotannin B(5),vitexin(6),isoquercitrin(7),4-Ο-[β-D-glucopyranosyl〕-3,3',4'-tri-Ο-methyl ellagic acid(8)及びgallic acid 3-Ο-β-D-(6'-Ο-galloyl)-galloyl)-glucopyranoside(9)を単離同定した。 3) PCA抑制試験では、加水分解型タンニンであるl,2,3,4及び5の加水分解型タンニンに強い抑制効果が認められた。また、フラボノール配糖体の7にも同程度の活性が認められた.加水分解型タンニン類のPCA抑制に関する報告がなく、本植物中の主要なI型アレルギー抑制成分考えられた。 4) ヒスタミン遊離抑制活性は、l,2,3及び9に強い活性が認められ、またこれらの化合物よりやや劣るが二量化した加水分解型タンニンである5,7及び8にも活性が認められた.しかし、グルコースコア部のC1部分が開裂した4には活性が全く認められず興味ある結果を得た. 5) ロイコトリエン遊離抑制試験は、1,2,3,4,5及び7に強い活性が認められた. 6) マクロファージ活性化(LPSとINF-γ)によるNO産生の抑制試験では、二量化した5に最も強い活性が認められ、2,3及び4にも強い活性が認められた。また、1には細胞障害性が認められた。
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