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1998 年度 研究成果報告書概要

静電的相互作用によるペプチドの組織細胞膜透過に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 09680581
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 生物有機科学
研究機関近畿大学

研究代表者

若宮 建昭  近畿大学, 理工学部, 教授 (10028243)

研究期間 (年度) 1997 – 1998
キーワードペプチド / 血液脳関門 / 静電的相互作用 / 吸着介在型透過機構 / TRH / キョートルフィン / p-ボロノフェニルアラニン / 中性子捕捉療法
研究概要

我々は数年前よりペプチドの血液脳関門透過研究に取り組み、従来極めて困難とされていたペプチドの脳輸送を可能とする一つの道を拓くことができた。平成9年度には、これまでに合成したペプチドのなかで、最も優れた透過性を示したMeTyr-Arg-MeArg-D-Leu-NH-(CH_2)_8NH_2(001-C8)に、NBDを導入した化合物001-C8-NBDを調製した。共焦点レーザー顕微鏡の使用により、このペプチドが細胞膜表面上の負電荷部分との静電的相互作用に基づく吸着介在型透過機構(AMT)により血液脳関門を透過する機構をはっきりと視覚的に解明することが出来た。さらに、この誘導体が001-C8よりもはるかに高い血液脳関門透過性を示したことから、ペプチド鎖にオクタンジアミン(C8)とNBDを結合させると分子の塩基性と脂溶性のバランスがとれ、血液脳関門透過性が良くなるのではないかと推定するに至った。この結果に基づき、平成10年度には生理活性ペプチドとして重要ではあるが、血液脳関門を全く透過しない甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)と鎮痛ペプチドキョートルフィン(KYO)に、それぞれC8とNBDを結合させたペプチドを合成した。これら2種のペプチドの血液脳関門透過性試験の結果、前者はAMT機構ではなく分子の脂溶性に基づく受動拡散により血液脳関門を透過し、一方、後者は予想に反して全く透過性を示さないということがわかった。
以上の結果、我々が当初考えていた血液脳関門透過性ペプチドのデザインに関して、新たな見直しを迫られることとなった。しかし、TRHの類縁体が透過機構は異なるけれども血液脳関門を透過したことは十分評価されるものと考えている。このように、血液脳関門透過性ペプチドに関しては、一応の成果を上げられたものの、今後の新たな展開を目指して検討すべき時期に来たと考えている。
続いて、脳腫瘍などの中性子捕捉療法を目指したホウ素含有アミノ酸P-ボロノフェニルアラニンと3種の親水性アミノ酸とのジペプチドの合成に成功した。現在、これらの水に対する溶解度を調べているところである。来年度には、合成ペプチドを用いた腫瘍の治療に関する研究を京都大学原子炉実験所で実施したいと考えている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 若宮建昭: "Design and Synthesis of Peptides Passing through the Blood-Brain Barrier." Bull.Chem.Soc.Jpn.71. 699-709 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 崔 吉道: "Adsprptive-mediated endocytosis of a basic peptide in enterocyte-like Caco-2 cells." Am.J.Physiol.275. G514-G520 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 崔 吉道: "Adsorptive-mediated transcytosis of a synthetic basic peptide, 001-C8 in Caco-2 cells." Pharm.Res.15. 1305-1309 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 崔 吉道: "Intestinal absorptiion of fluorescence-derivatized cationic peptide 001-C8-NBD via adsorptive-mediated transcytosis." Bioorg.Med.Chem.6. 841-848 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] T.Wakamiya et al.: "Deisgn and synthesis of peptides passing through the blood-brain barrier." Bull.Chem.Soc.Jpn.71. 699-709 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Y.Sai et al.: "Adsorptive-mediated endocytosis of a basic peptide in enterocyto-like Caco-2 cells." Am.J.Physiol.275. G514-G520 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Y.Sai et al.: "Adsorptive-mediated transcytosis of a basic peptide, 001-C8 in Caco-2 cells." Pharm.Res.15. 1305-1309 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Y.Sai et al.: "Intestinal absorption of fluorescence-derivataized cationic peptide 001-C8-NBD via adsorptive-mediated transcytosis." Bioorg.Med.Chem.6. 841-848 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1999-12-08  

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