研究課題/領域番号 |
09680584
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 智典 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (00162454)
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研究分担者 |
森 俊明 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (50262308)
江原 靖人 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (40251657)
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キーワード | ガングリオシド / ガングリオシドラクトン / インフルエンザウイルス / ヘマグルチニン / シアリダーゼ / 小麦胚芽レクチン / 水晶発振子 / 生体膜モデル |
研究概要 |
シアル酸を含んだスフィンゴ糖脂質であるガングリオシドは、種々の細胞表面に存在し、抗体、ウイルスあるいは毒素のレセプターとして働いたり、様々な細胞の生物学的機能に関与している事が知られている。ガングリオシド糖鎖部分にシアル酸を持っているため、シアル酸のカルボキシル基と隣接する糖の水酸基とで分子内でエステル結合を形成し、ラクトン構造をとることが考えられる。本研究では細胞膜モデルとして水面単分子膜を用いて、GM3ラクトンの糖鎖の認識性について検討した。 まず、GM3の末端の糖鎖であるシアル酸に結合するレクチン(小麦胚芽レクチン、WGA)の結合について検討した。この結果、GM3ラクトンはGM3に比べWGAの結合性が高くなった。これはオリゴ糖鎖の立体構造の違いによるためであると思われた。 インフルエンザウイルスは、宿主の細胞表層に存在するシアル酸含有糖鎖に結合し、感染を起こすことが知られている。インフルエンザウイルスは、ヘマグルチニン(HA)とシアリダーゼ(NA)という二種類の糖鎖認識を行う膜タンパク質を有している。HAタンパク質の糖鎖認識性について調べることは、ウイルス感染防御や、抗ウイルスの薬の開発にとって重要である。インフルエンザHAタンパク質としては、ウイルス膜タンパク質をエーテル抽出したものを用いた。GM3ラクトンは、GM3と同様、非特異膜であるGlcCerに比べて大きなHAの結合を示した。GM3では、HAによる結合が見られた後に、NAによりGM3が加水分解されることによりHAが解離する挙動が観察された。一方、GM3ラクトンではHAの結合過程のみが観察された。この結果はGM3ラクトンがシアリダーゼに対して耐性であることを示唆していた。事実、TLCによる結果から、GM3ラクトンはシアリダーゼ耐性であることが示された。
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