ガングリオシドラクトンの受容体としての機能は全く知られておらずその生物的存在意義については糖鎖生命科学において重要な未開の分野である。本研究ではガングリオシドラクトンの認識おける機能を知ることを目的として研究を行った。ガングリオシドラクトンのひとつであるGM3がラクトン化されることでシアリダーゼのような酵素により加水分解されないこと、さらにシアル酸特異レクチンとの結合親和性が顕著に増大することなどを見出した。また、インフルエンザウイルスとの結合性を有していることも明らかになった。さらに、GM4ラクトン誘導体を用いることで、ラクトンの結合位置により、その受容体機能が異なることが見いだされた。ラクトン環を形成することで、シアル酸とガラクトース間の運動性が押さえられることから、膜界面での糖鎖密度依存性が、元のガングリオシドラクトンと異なることも示された。 これより、ガングリオシドラクトンは細胞膜表層においても重要な受容体として機能していることが期待される。
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