研究概要 |
米ヌカより単離・精製したキチナーゼRS-9Kのアミノ酸配列に基づき、BamHI切断部位を末端に持つN末端側およびC末端側のプライマーを合成した。イネ子葉からゲノムDNAを抽出し、合成したプライマーを用いてPCR法によりキチナーゼ9KのcDNAを増幅した。得られたキチナーゼRS-9K DNAを配列分析用のベクターにサブクローニングし、DNA Sequencerにて塩基配列を分析して、キチナーゼRS-9Kのアミノ酸配列と相同な塩基配列を持つベクターを選別した。このベクターを導入して形質転換した大腸菌を培養し、プラスミドDNAを抽出後、制限酵素BamHIによってBamHI-9K DNAを切り出した。得られたキチナーゼDNAはトランスファーベクターpAcGP67aにライゲーションした。これをヨトウガ細胞に感染するウイルスDNAとco-transfectionすることにより、組み換えウイルスを作成した。しかし、この系によるタンパク質の発現は認められなかった。次に大腸菌発現系を用いるために、キチナーゼDNAをpET vector,pMAL vectorにそれぞれライゲーションし、発現条件で発現を試みた。しかし、キチナーゼの発現は認められなかったため、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)とのフュージョンタンパク質として大腸菌で発現する系を採用した。発現したタンパク質はグルタチオンカラムにより、1ステップで単離・精製された。発現タンパク質は、SDS-PAGEにより、フュージョンタンパク質であることが確認された。精製したGST-9Kフュージョンタンパク質はPreScission^<TM>ProteaseによりGSTとキチナーゼ9Kを切断し、ゲルろ過、逆相クロマトグラフィーを用いることに精製した。しかし、精製リコンビナントキチナーゼ9Kにはキチナーゼ活性はなく、現在、発現タンパク質を活性型で発現する、酵母(Pichia)による発現系による発現を試みている。
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