Tissue Factor Pathway Inhibitor(TFPI)はXa因子とVlla因子の両方を阻害する作用をもち、リポタンパク質および内皮細胞に結合する性質をもつことから、動脈硬化の進展と血栓形成に関わる、外因系凝固の開始反応の新しい制御因子である。本研究はTFPIの各機能領域の変異体を調整し、各領域とリポタンパク質やプロテオグリカンなどとの結合様式を解析し、その機能を明らかにすることにある。昨年度においては、TFPIのトロンビンによる分解の機構とその意義、およびTFPIとヘパリンとの結合様式について研究を行った。 今年度においては、引き続き、TFPIとヘパリンの相互作用について研究し、TFPIと結合するヘパリンのサイズについて検討した。その結果、ヘパリン4糖でも結合するが、糖鎖が長くなるにつれて強く結合し、12糖以上がもとのヘパリンと同じ強さの結合能を示した。TFPIには2つのヘパリン結合部位、K3ドメインとC末端側塩基性ペプチド、が存在するので、これらの部位とヘパリンの結合を別々に解析するために、K3領域については、カイコを用いる発現系を構築し、その体液より。K3組換え体を調製した。C末端側塩基性ペプチドについては合成ペプチドを調製した。現在、これらの2つのヘパリン結合領域と種々のヘパリン誘導体との結合を解析中である。
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