研究概要 |
(1) ETA及びETB受容体共発現細胞におけるET-1の結合及び機能持性の解析 ETA/ETB共存系では、ETBリガンドによりETBから置換遊離した[125I]ET-1がETAにトラップされ、ETBリガンドによる結合置換が認められない結果になることが示された。ウサギ肺動脈では、この過程でETAに結合したET-1が,ETAを介する作用を示したと考えられた。このことは、受容体と拮抗薬相互信用に新たな機序が存在することを示したものであり、循環器疾患治療薬として開発の進んでいるETB拮抗薬の臨床応用に際して、血管部位によりETA/ETBの存在量比が異なるために拮抗効果が部位により変化する可能性を示唆し、使用目的により十分な配慮をする必要があることを示したものである。 (2) 三量体G蛋白質シグナル調節蛋白質(RGS)による心血管系における7回膜貫通受容体シグナルの新しい調節機構の解析 (a)血管平滑筋の収縮型から合成型への変化は,細胞増殖能の大きな変化と、血管作動性物質に対する受容体応答の変化を伴うが、この変動とRGS4、5の発現が密接に関与している可能性が考えられた。(b)約200残基のRGS蛋白質ファミリーであるRGS1、2、4、5、8、16、Z1、GAIPの発現はアゴニストによる細胞内Ca濃変の上昇能アッセイでは、ほぼ同一の抑制傾向を示すことが判明した。(c)それらの抑制作用はRGSとG蛋白質αとの結合実験から、Gi、Go、Gq/11サブユニットを介して行われる。(d)細胞に発現するRGS蛋白質の発現密度に依存して、アゴニスト刺激による受容体シグナルは抑制される。(e)縮胞に発現する受容体密度により、RGS蛋白質の発現による受容体シグナルの抑制効果は異なることが判明した.
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