研究概要 |
(i)Na+-ATPase(ntp)オペロン遺伝子は11個のシストロンから構成される約11kbの長さがある。個々のntp遺伝子への薬剤耐性遺伝子のカセット(エリスロマイシン耐性など)の導入による破壊株の作製はすでに8種類まで済んでいる。しかしながら全遺伝子のdeletion mutantの作製には成功していない。 (ii)pHY300PLK(大腸菌とenterococciとのシャトルベクター)をベクターとして、プロモーター領域とレポーターとしてCAT(Chloramphenicol acetyltransferase)遺伝子を連結したハイブリッドを作製し、野生株及びH+-ATPase欠損変異株への導入に成功した。 (iii)オペロンプロモーター活性に及ぼす倍地イオン条件を細かく検討するためには、イオン条件をコントロールできる倍地作製が必要である。腸内連鎖球菌は数多くの生合成経路が欠損しているために、最小倍地で生育することができない。各種倍地の条件検討の結果、K+及びNa+欠乏の完全合成倍地の作製に成功した。CAT活性を指標に、NaCl及びLiCl濃度の影響を調べた結果、オペロンプロモーター活性はNa+対して比較的高い特異性があることが明らかになった。本酵素Na+-ATPaseは共役イオンとしてのNa+,Li+に対する特異性にはほとんど相違がないことをすでに明らかにしているが、明らかにイオンセンサーの特異性と異なっていることがわかった。野生株を用いた生細胞によるNa+pump活性、反転膜小胞によるNa+-ATPase活性、さらにそれぞれのNtpサブユニットタンパク質に対して作製した抗体により免疫化学的により、同様の結果を確認してた。
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