研究概要 |
私たちの研究室で発見された糊代をもったタンパク質(トラッピン)に関する基礎と応用研究を行い以下の成果を得た。(1)トラッピン遺伝子の分子進化機構:トラッピン遺伝子は,エクソンよりもイントロンの方がよく保存されているという際だった特徴を有する。これは通常の遺伝子とは全く逆であり,どのようにしてそのようなことが起こったかは興味深い問題である。イボイノシシのトラッピン遺伝子を詳細に解析し,この問題を解決した。すなわち,ジーンコンバージョン(geneconversion)によってイントロンの配列がもとのものと置き換えられている結果,イントロンにたまった変異が消去され,見かけ上,不変のように見えていることが明らかになった。(2)組織トランスグルタミナーゼの検出と可視化法の開発:糊代部分を利用して,タンパク質架橋酵素トランスグルタミナーゼの簡便かつ高感度検出法を開発した。すなわち,糊代部分に蛍光性のGFP(green fluorescent protein)をつなげた融合タンパク質を作製したところ,トランスグルタミナーゼの優れた蛍光性基質となり,組織抽出液中及び組織切片上のトランスグルタミナーゼを容易に検出できることが明らかになった。
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