研究概要 |
新規ErbBリガンドを同定する目的で、ジャクスタクリンアッセイ系を用いてErbB2またはErbB4を活性化するリガンドを発現している細胞株をまずスクリーニングしラットPC-12細胞株を得た。この細胞を用いてPCRクローニングを行い2580bpによりコードされる860個のアミノ酸からなると推定される、Neuregulinと約30%の相同性を持つ新規の蛋白質NTAK(Neural-and Thymus-derived Activator for erbB kinases)を同定した。このcDNAをCHO細胞にトランスフェクションしリコンビナントたんぱくしつを作成し、生物活性を解析した結果、ErbB3とErbB4に結合しErbB2を活性化する事が明らかとなった。また、これら3種のErbBを発現しているヒト乳癌細胞株MDA-MB-453細胞を分化させることが明らかとなった。一方、ラット組織でのmRNAの発現はNorthern Blottingによる解析では、脳と胸腺にのみ認められた。また、PCR法によりNTAKアイソフォームを解析した結果、NTAKの機能ドメインと考えられるEGFドメインに3種類の選択的スプライシングアイソフォームの存在が確認され、α,β,γアイソフォームと命名した。これら3種のリコンビナント蛋白質を大腸菌発現系で作成し、それぞれのErbBの活性化能を解析した。その結果、αはErbB3に、βはErbB4に対して親和性が高く、またγは、ErbB3と4を活性化しないことが明らかとなった。現在γアイソフォームがα,βアイソフォームのアイタゴニストとして機能するのかどうか解析している。
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