今年度の研究により以下の点を明らかにした。 1. 30種類を超える多数の2-アラキドノイルグリセロールアナログを調製し、構造活性相関を詳しく調べた。2-アラキドノイルグリセロールのエーテル型アナログにもやや弱いながら活性のあること、1-アラキドノイルグリセロールや3-アラキドノイルグリセロールの活性は2-アラキドノイルグリセロールのそれよりはかなり弱いこと、アラキドン酸だけでなくエイコサペンタエン酸(20:5(n-3))を含む2-モノアシルグリセロールやミード酸(20:3(n-9))を含む2-モノアシルグリセロールにも強い活性のあること、酸アミド型のアナログであるアナンダミドやN-アラキドノイルセリノールなどの活性はごく弱いものでしかないことなどが明らかとなった。以上の結果などから、カンナビノイドCB1受容体は2-アラキドノイルグリセロールの構造を厳密に認識していることが明らかとなった。カンナビノイドCB1受容体の本来の生理的なリガンドは2-アラキドノイルグリセロールである可能性が高いと考えられる。 2. トロンビンなどで刺激した血管内皮細胞が2-アラキドノイルグリセロールを生成すること、血管平滑筋細胞にカンナビノイドCB1受容体が発現していることなどが明らかとなった。これらの結果は2-アラキドノイルグリセロールが血管系において何らかの重要な役割を演じているものである可能性がある。 3. ラット脳ホモジネートをインキュベートすることにより、2-アラキドノイルグリセロールがCa^<2+>依存的に速やかに比較的大量に生成することが明らかとなった。2.アラキドノイルグリセロールの生成においてはCa^<2+>が重要な調節因子となっていることが考えられる。
|