オルニチン脱炭酸酵素(ODC)分解の分子機構と生理機能の解明を目指す研究の一環として、ODC分解の特異的阻害剤の検索・開発を試み初年度は以下の成果を得た。(l)ODC活性の簡易定量法を検討し、以下のように設定した。:96穴プレートに付着した細胞を棟結融解により破砕したのち、1-^<14>C標識オルニチンを含む反応液を各ウエルに添加する。プレートを96穴シリコンシート、アルカリ性濾紙、粘着シートの順でおおい37度で1時間振とうする。アルカリ性濾紙に吸収されたオルニチン由来の^<14>CO_2を、イメージングアナライザーで検出する。(2)細胞内ODC分解の測定条件を検討し以下のように設定した。:CHO細胞のODC過剰生産株DF3を96穴プレートに培養する。低浸透圧ショックによってODCを誘導かつ安定化させた細胞にプトレッシンを添加して1時間後に上記の方法で残存ODC活性を測定する。プトレッシンを添加しない対照細胞のODC活性との差を細胞内ODC分解量とする。(3)in vitroのODC分解の簡易定量法の確立:96穴プレートで培養したHTC細胞を上記のように破砕し、^<35>S標識ODCを含む分解反応液を添加して37度で1時間振とうする。TCAを添加したのち、各ウエルの反応液をエッペンドルフチューブに移して遠心する。上清の放射能からin vitroのODC分解量を求める。(4)ODC分解阻害剤のスクリーニング:北里研究所の智田先生より提供された放線菌培養液の上清を検索標品として用いた。1次スクリーニングとしてin vivoのODC分解を阻害する標品を選別し、陽性のものを2次スクリーニングにまわした。2次スクリーニングではin vitroのODC分解を阻害するものを選別した。約1000個の標品から2個の陽性標品をみいだした。これらの標品はいずれもプロテアソームのペプチダーゼ活性は阻害しない。現在各種クロマトグラフなどで精製を試みている。
|