大腸菌のプロリンtRNAとはプロリル-tRNA合成酵素による認識部位が異なっていると思われる古細菌の一種、Haloferax volcaniiのプロリンtRNAについて、この遺伝子の上流にT7プロモーターを持つDNA断片を化学合成し、ライゲーション後pUC19プラスミドにクローニングした。クローンを選別後、塩基配列の確認を行った。識別位塩基およびアミノ酸受容ステム部分への変異の導入はプライマーに依存したPCR増幅反応で行った。アンチコドンとジヒドロアームへの変異の導入はそれぞれ合成DNAを用いて行った。これらのプラスミドあるいはプラスミド断片を鋳型として、精製したファージT7RNAポリメラーゼによる試験管内転写反応で、各種の変異体RNAを作成した。現在、Haloferax volcaniiからのプロリンtRNAとプロリル-tRNA合成酵素の精製をしており、近くプロリン受容活性の酵素反応速度論的実験(KmおよびVmaxの測定)を開始できる見通しである。また、大腸菌のイシンtRNAについてのSELEX法を導入したロイシル-tRNA合成酵素による試験管内進化の研究はほぼ終了し、その結果は先にT7RNAポリメラーゼによる試験管内転写反応で得た各種のロイシン変異体RNAによる研究の結果と一致し、その成果を現在論文としてまとめ、発表する準備を進めている。
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