研究概要 |
C57BL/6マウスにBALB/cマウスの皮膚やBALB/cマウスの腹腔内で継代したMeth A線維肉腫を移植すると、移植局所に2種類のcytotoxicな細胞が浸潤した。移植した皮膚細胞や腫瘍細胞を傷害する主たる細胞は、マクロファージ系細胞であり、移植後4,5日で移植局所に出現した。マクロファージ系細胞の浸潤から遅れること1〜2日後に、移植した皮膚細胞やMethA細胞には無効だが、移植した細胞と同じ組織適合性抗原を持つBALB/cリンパ芽球にcytotoxicなT細胞が浸潤した。2種類のエフェクター細胞が移植局所に浸潤することを、恐らく誰も予想しなかったので、従来のほとんどの研究者が、この活性をもって、T細胞が移植片を拒絶すると考えてきたのは、ある意味では仕方のないことかもしれない。 移植細胞は、移植局所に浸潤するマクロファージ系細胞によって、T細胞の傷害機構であるFas/FasLやパーフォリンとは別の機構でアポプトーティックに傷害され、移植後9-10日には移植局所から拒絶排除された。In vitro細胞傷害活性測定系で、T細胞非存在下、エフェクターマクロファージは非自己皮膚細胞を傷害し、自己皮膚細胞を傷害しなかった。従って、本マクロファージ上にT細胞受容体様分子の存在が示唆されたので、本マクロファージのcDNA libraryを作り、一方で、移植片に対する細胞傷害活性を阻害するモノクローナル抗体を作成した。
|