研究課題/領域番号 |
09680641
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
南野 直人 国立循環器病センター研究所, 研究機器管理室, 室長 (50124839)
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研究分担者 |
片渕 剛 国立循環器癌センター研究所, バイオサイエンス部, 室員 (50300976)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / アドレノメデュリン / 線維芽細胞 / マクロファージ / 増殖 / インターロイキン-6 / 炎症 |
研究概要 |
アドレノメデュリン(AM)は褐色細胞腫より単離された血管弛緩性ペプチドで、血管内皮細胞や平滑筋細胞が多量に産生し、血管壁でオートクリン・パラクリン因子として収縮・弛緩調節に関与する。本年度の研究により、血管系では内皮細胞のAM産生を酸化LDL、リゾフォスファチジ-ルコリンが炎症性サイトカインとともに促進し、分泌されたAMが動脈硬化発症に対し抑制的に機能する可能性を示した。ただ、内皮細胞のAM受容体は動物種により親和性が異なるため、受容体特異性と機能との検討が必要である。 間質系細胞の例として、ヒトおよびマウス由来の3種の線維芽細胞につき検討した結果、胎児、皮膚、肺などの由来組織にかかわらずAMを活発に産生し、その産生調節は血管平滑筋細胞に類似し、炎症性サイトカイン、LPS、ステロイドなどで産生が亢進した。また、マウス由来のSwiss3T3細胞はAM特異的な受容体を発現し、細胞内cAMP濃度を強く上昇することが確認された。静止期にした同細胞にAMを作用させると、細胞増殖を促進し、インスリン存在下で10%胎児血清の75%に対応する増殖促進効果を示した。また、同細胞より分泌されたAMの作用は中和抗体によりブロックされるため、分泌されたAMが、オートクリン成長因子として線維芽細胞の増殖を調節する可能性が示された。 単球-マクロファージ系細胞としては、RAW264.7、THP-1、HL-60につき検討した。いずれの細胞もAMを産生したが、分化誘導とAM産生の間に強い相関性が認められ、マクロファージへの分化、活性化によりAM産生が亢進することが確認された。AM産生調節は平滑筋細胞と異なりステロイドが抑制的に、インターフェロンγが促進的に作用するなど、炎症性サイトカインの産生に近い調節を受けることが分かり、血管とは異なり炎症のメディエーターとしてAMが機能する可能性が強く示唆された。
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