1)チロシンホスファターゼの気質特異性異性をよりin vivoに近い系でCD3ゼータの7つのチロシンのそれぞれについてフェニルアラニンに置換したミュタントを作成した。C末から1、3、5、番目がチロシンのままで2、4、6、7がフェニルアラニン置換されたミュタント、同様に1、2、3番目、1、2番目、1、3、番目2、3番目がそれぞれチロシン残基として残ったミュタントCD3ゼータと1ckをCOS細胞に共発現させて、CD3ゼータをグルタチオンアガロースに結合したCD45のGST融合蛋白質で沈降する方法で検討した。現在めでのところCD45対する特異性の大きな違いは見られていない。 2)これらの実験の過程で2つの新たなデータを得た。これらのミュタントのうちの二つはチロシンのリン酸化効率が非常に悪い。これは1ckのキナーゼに気質特異性にチロシン残基の配列が関係している事を示唆する結果である。 3)また、リン酸化されたCD3ゼータに結合する蛋白質として採られたキナーゼZAP70はリン酸化されていないCD3ゼータにも結合性を示すが、モノマーのCD3ゼータには結合とZAP70データのSH2ドメインは結合を示さない結果が発表されているが、今回得られた実験との違いは、合成ペプチドは二量体を形成する事ができないためと考えられた。今後、この結果についてもさらに確認していく。 4)CD45の結合蛋白質についてはジャーカット細胞の細胞膜画分を硫安沈殿して、GST-CD45で沈降する方法で良好な濃縮ができなかったので、現在、ジャーカット細胞全体をゲル濾過で分画する方法で検討を進めている。 5)また、これとは別にCD45の結合性蛋白質を単離する目的で酵母のツ-ハイブリッドのシステムを用いてCD45の細胞内ドメインをヴェクターにつないだプラスミドを構築した。
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