研究概要 |
1.シトクロムc(Cyt c)の種間ハイブリッド分子を作るための準備として,ウマCyt cのペプチド断片66-104を収率良く合成するための条件を検討した.アミノ酸の活性化剤としてはTBTUとHOBを用い,各反応サイクルで未反応ペプチド末端にキャッピングを施しながら,0.1ミリモル量でFmoc法による固相重合を行った.合成機は,日本パーセプティブ社の9050を用いた.三フッ化酢酸で合成後の樹脂を処理し,ペプチドの切り出しを行った. 2.このペプチド試料の一部分を逆相の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけて分析すると,約20本のピークが認められた.ピーク値の際立って高い分画を分離して,再度,HPLCで分析すると,純度95%以上の単一ピークの試料になった.また,この精製試料を質量分析して,分子量が4574.64(理論値4573.36)であることを確認した.理論値との差は0.28なので,目的のペプチドが合成されていることを結論した(収量約10%).現在,このペプチドと天然のCyt cを臭化ブロム処理して得られた断片1-65との縮合反応を行う準備を進めている. 3.試料調製の準備とは別に,Cyt cの立体構造の安定性に関する実験も並行して進めている.非線型最小二乗法により,変性曲線から安定性の指標となるパラメターを精度良く良く見積もる方法を確立ので,今後,調製したハイブリッド分子などの安定性の見積もりに応用して行きたい.
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