研究概要 |
1. ウマ心筋のシトクロムc(Cyt c)を臭化シアンと反応させることにより,Met-80の位置でタンパク質を切断し,ペプチド断片1-65(P1)を得た.反応の際,溶媒として,通常,使用される蟻酸水溶液を用いると,得られた断片が複雑な化学修飾を受けることが分かった.溶媒として塩酸水溶液を用い,低温(10゚C)で反応させると,修飾されていない断片が得られた.逆相クロマトフィーを利用して,この試料の分離精製を行い,純度の高い試料P1を得た. 2. Cyt cの種間ハイブリッド分子を作るための基礎実験として,既に合成されている,ウマCyt cの66-104のペプチド(P2)とP1とを,嫌気的条件下で反応させた.反応液を逆相クロマトグラフィーで分析したところ,約40%の収率で,P1とP2の間のペプチド結合が再生したウマCyt cのアナログが生成していた.このことは,SDSゲル電気泳動法によっても確認された. 3. 今後は,純度の高いP1を,大量に調製する方法を確立する.いろいろな生物のCyt cの配列に対応するペプチド66-104を合成し,P1と結合させ,種間ハイブリッドCyt cを作る.この分子の立体構造の安定性を定量的に比較し,研究を進めて行く.
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