研究概要 |
ラットから2種類のcDNAクローン(maf-1,maf-2)が得られた.maf-1はmafB,maf-2はc-mafのラットホモログであった.maf-1,maf-2のラット組織での発現を検討した結果,軟骨(分化過程後期の肥大軟骨細胞),目の水晶体(上皮細胞がファイバー細胞に分化する過程でmaf-lが一過性に発現し,maf-2はその後も強く発現),脊髄(maf-1,maf-2が異なった部位に,一見相補的な発現パターン),腎臓発生過程(maf-1は糸球体の発生と共に発現し,maf-2は尿細管に発現)など両者の特異的な発現が見られた.脂肪細胞の分化過程ではmaf-2が発現停止する.これらの発現パターンは両者の発現が密接に関係しているが異なった機能を持っていることが強く示唆する. 2. maf-1,maf-2の結合DNA配列とヘテロ二量体形成の特異性 Maf-lは従来の報告より短い共通配列にも結合する.ヘテロ二量体形成の特異性は両者でやや異なる.ヘテロ二量体形成によって結合DNA配列が変化し転写活性化の特異性の変化が見られた.これらのことはMafがへテロ二量体を形成しうる他の転写因子との微妙な相互作用が転写制御機構を変化させる可能性がある. 3. maf-1,maf-2遺伝子の構造と発現制御機構 ラットおよびマウスからmaf-1,maf-2遺伝子をクローンし,これらの遺伝子の転写制御領域や転写を調節する因子などについて検討を加えている.これらの遺伝子はイントロンを持たない遺伝子であった.maf-1,maf-2ともそれぞれMaf-1,Maf-2で転写が促進されオート制御機構が働いているものと思われる.さらに,MyoD,PPAR等によって転写が調節されていることが明らかになった.
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