研究概要 |
1. ショウジョウバエから脊椎動物のFAK(focal adhesion kinase)に相同な遺伝子をクローニングし(DFAK)、以下に示す解析を行った。 (1)唾腺染色体in situハイブリダイゼーションにより、DFAK遺伝子の位置をバンド56Bから56Dの間にマッピングした。 (2)RNA in situハイブリダイゼーション、免疫組織染色によりDFAK遺伝子及びその産物のハエ胚において中枢神経系及び筋表皮接合部 (muscle attachment,apodeme) に発現していることを見出した。 (3)ショウジョウバエ培養細胞を用いた実験によって、DFAK蛋白質が脊椎動物のFAK同様、インテグリンを介した細胞基質間の接着によりリン酸化が亢進することを明らかにした。 (4)野性型およびキナーゼ活性を消失させた変異型DFAK遺伝子を誘導的に発現させることのできるトランスジェニックハエの系統を作製した。 以上の結果は平成9年12月に米国ワシントンD.C.で行われたアメリカ細胞生物学会年会において発表した。 2. PCR法を用いてFAK遺伝子のcDNAにランダムに突然変異を導入した発現ライブラリーを作製した。現在NIH3T3細胞を用いて細胞のトランスフォーメーションを指標として活性型の突然変異を同定するためのスクリーニングを開始している。
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