研究課題/領域番号 |
09680674
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | (財)体質研究会 (1998) 京都大学 (1997) |
研究代表者 |
山岸 秀夫 財団法人 体質研究会, 主任研究員 (90025429)
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研究分担者 |
浴野 成生 熊本大学, 医学部, 教授 (30125273)
清水 章 京都大学, 遺伝子実験施設, 教授 (00162694)
宇高 恵子 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40263066)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | ブルサ / 胚中心 / 免疫グロブリン / PCR法 / 抗原親和性成熟 / 遺伝子変換 / 点突然変異 / クラススイッチ組換え |
研究概要 |
本研究では、(1)腸管リンパ組織、ブルサにおける抗体遺伝子の多様化の実体と抗原刺激の影響、(2)末梢リンパ組織、脾胚中心におけるB細胞分化、(3)脾胚中心でのクラススイッチ組換え機構を明らかにすることを目的とした。 (1)卵生18日と孵化7日のブルサ、及び孵化前の結糸によって腸管抗原から隔離された孵化7日のブルサ、結糸時にNPハプテン抗原を封入した孵化7日のブルサ、それぞれの単一濾胞の抗体遺伝子L鎖をPCR法を用いて増幅し、解析を行い、その抗原刺激の影響を比較した。その結果、抗原刺激に依存しないでランダムに生ずる遺伝子変換と点突然変異による遺伝子の多様性の拡大と、ブルサ濾胞に取り込まれた環境抗原に依存した多様な抗体分子を発現するB細胞の正の選択が明らかとなった。(2)FITCハプテン抗原を用いてニワトリを免疫し、初期(7日後)、後期(11日後)の脾胚中心を分離し、PCRを用いて抗体遺伝子L鎖を増幅し解析した。その結果、同一DNAクローン内でのアミノ酸置換率は3〜12%に収束し、異種DNAクローン内では40〜90%に増大することが明らかになった。中枢リンパ組織で形成される抗原親和性の低い初期抗体、末梢脾胚中心暗帯での抗原刺激に誘発される激しい抗体遺伝子の破壊と創造、明帯での高親和性抗体産生細胞の選択が抗原親和性成熟の実体である。(3)IgM上流には約5kbに亘るSμ領域が存在し、TATGGとACCAGの5塩基を基礎単位とする3.7kb長のSμ1領域とTACAGとCCCAGの5塩基を基礎単位とする1.4kb長のSμ領域に分けられた。IgG上流にはTATGGとGGCAGの5塩基を基礎単位とするSγ領域が同定された。またNPハプテン抗原で刺激した脾細胞とそのIgG陽性ハイブリドーマを解析し、Sμ領域とSγ領域の欠失組換えを検証した。その組換え点は一本鎖DNAの回文構造に由来するヘアピン構造のマイクロサイト近傍に検出された。また国際シンポジウム″系統発生学からみた免疫学の新展開″を開催し、鳥類を中心とした下等脊椎動物で展開する免疫学の課題について意見を交流した。
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