熱ショックなどの環境ストレスに対する最も重要な応答は熱ショック応答と呼ばれ熱ショック蛋白質の転写レベルでの誘導が主に生じる。このシグナル伝達をつかさどる鍵となるのが熱ショック転写因子HSFである。従来より知られているHSF1に加えてHSF3も温熱などのストレスで活性化されることが明らかになり、その伝達の詳細な分子機構の解析が望まれた。本研究ではHSF3遺伝子の欠損細胞を樹立して熱ショック応答への影響を解析した。その結果、HSF3が応答に必須であり、HSF1のみでは不十分であること、また、HSF1とHSF3の活性化機構が第三の因子を介してリンクしていることを明らかにした。一方、全く新しい転写因子HSF4の解析から、HSF4は転写活性化能を持つものと持たないアイソフォームがあることが明らかになり、熱ショック遺伝子の発現を正に、あるいは負に制御していることが推測された。どのような局面、組織でそれが働いているかについては今後の解析を必要とする。
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