研究概要 |
1)XAB2/XPA,XAB2/CSA複合体の形成および機能の解析:(1)細胞内でのXAB2/CSA複合体の形成を調べるために抗CSA抗体を作成し免疫共沈降実験を行ったが、XAB2/CSA複合体の形成は現時点では確認できていない。抗体の品質に問題があると考えられるので、HA TagをつけたCSAを発現しているCSA細胞を用いて検討している。(2)XAB2の欠失変異体を作成し、Yeast 2-hybrid系を用いてXPAとの結合に必須な領域を決定した。TPR様モチーフ6-7とそれに続く酸性アミノ酸に富んだ領域が必要である。また、XAB2のカルボキシ末端側はCSAと弱く結合する。これらのXAB2の欠失変異体を細胞内で過剰発現させ、NER能に対するdominant-negativeな効果が見られるかどうかを検討している。2)(1)XAB2と相互作用する蛋白質の検索:HA TagをつけたCSBを発現しているCSB細胞粗抽出液から抗HA抗体を用いて免疫沈降実験を行ったところ、XAB2が共沈降する事が判明した。in vitro結合実験からXAB2はCSBとは直接結合しないと考えられるので、XAB2はCSBと複合体を形成している他の蛋白質と相互作用していると考えられる。(2)Yeast 2-hybrid系を用いてXAB2と相互作用する蛋白質の検索したところ、RNA結合モチーフを持つ蛋白質をコードするcDNAが単離された。この蛋白質の解析は現在進行中である。3)XAB2欠損細胞の作成によるXAB2機能の解析:(1)抗XAB2抗体を正常細胞にマイクロインジェクションし、その細胞のNER能を調べた。抗XAB2抗体をマイクロインジェクトされたヒト正常細胞はUV照射後の修復DNA合成は正常であったが、RNA合成の回復が阻害された。これはCS細胞が示す表現形と同じであることから、XAB2はCSA,CSBと同様に転写共役修復に関与していることが強く示唆される。(2)Gene Targeting法を用いてXAB2遺伝子を欠損したES細胞を作成するため、マウスXAB2遺伝子の単離、解析を行った。マウスXAB2遺伝子は全長約12kbで19個のエクソンからなる。現在、相同組換えのためのベクター作成を完了し、Gene Targetingを行っている。
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